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BL作品レビュー

BL小説レビュー「白雪姫の息子」


著者:犬飼 のの/イラスト:笠井 あゆみ
角川ルビー文庫 2015/10/31


【ジャンル】子濃厚官能ダークファンタジー系BL
【受攻概要】理性的清く正しい王子兄
×エルフのミルクで育った浮世離れした弟
兄弟愛葛藤度:★★★★★
エロス度:★★★★☆
ファンタジー度:★★★★★
衝撃度:★★★☆☆

【レビュー】

小説を読む前に本家白雪姫のあらすじをおさらいしてみたんです。
白雪姫のラストシーンって恐ろしかったんですね…
私は白雪姫は王子様と結婚し、めでたしめでたし。というところまでしか知らなかったのですが
その披露宴の席で、白雪姫は魔女である継母に真っ赤に焼けた鉄の靴を履かせ、死ぬまで踊らせたそうです。
姫…そんなの結婚式でやらないで…もうどっちが魔女なんだかわからないよ…

さてこのお話は、その白雪姫の後日談。
白雪姫に容赦ない報復を受けた魔女は強い呪いを残してこの世を去ります。
しかしその呪いを受けたのは、その時白雪姫のお腹の中にいた王子でした。
さらに第二子となる王子は、出産がきっかけで母・白雪姫が死んでしまった事から
発狂した父・国王により、産まれてすぐに森の奥深くにある高い塔に幽閉されてしまいます…

タイトル通り白雪姫の息子達を中心に
美女と野獣や、塔の上のラプンツェルなど複数の童話の設定が絡んでいます。
「ほんとは残酷な〇〇童話」や「官能〇〇童話」なども流行りましたし、
童話がベースになっているお話は物語が入りやすくとても読みやすいんですよね。
こちらのお話は「ほんとは怖い」より更に怖い内容なのですが…

メインとなる登場人物は
第一王子:カイル(金髪碧眼のイケメン王子。呪いにかかりながらも王子として勤め、弟クロウを救い出すことを画策しています)
第二皇子:クロウ(母白雪姫にそっくりな美貌の持ち主。森の中の塔に幽閉され、7人のエルフと暮らし兄の肖像画に恋をしています)

カイルの方に美女と野獣の設定、クロウの方に塔の上のラプンツェルの設定が其々関連しています。

残酷で官能的で美しいダークファンタジー…なのですが
・ガチ兄弟
・ガチ肉親
・愛無し乱交(飲精!)
・獣人(毛!)
・屍体性愛(直接的な描写はありませんが)
などなど、読者によっては受け入れ辛い要素があるかもしれません。

特に冒頭から、クロウは7人のエルフのミルク(精液)で育ったというエピソードと
歌い踊りながらみんなで愉しくミルクを絞り出す「食事シーン」があり度肝を抜かれました。
エルフ達と人間とでは感覚が違う様で、それを当然だと育ったクロウも含め食事シーンはとっても朗らかです。
度肝を抜かれつつふと感じたのが、このミスマッチ感こそが童話の持つ独特の不気味さだという事…
まさに冒頭でも紹介した本家白雪姫のラストシーン「披露宴で拷問処刑」的な不協和音です。

この独特な不気味さはエンディングシーンには一層濃く、読後感にも残ります。
そして、とっても美しい…
童話ベースの作品は数あれど、あらすじだけでなく童話の持つ独特な雰囲気までも踏襲されている作品はなかなかないのではないでしょうか。

BL要素に絞りますと、ガチ兄弟という点での葛藤がとても丁寧でした。
その分じれったく感じたり、踏み切れないカイルをヘタレだと感じるレビューも目にしましたが
兄弟である事、両親の異常さを恐れながらも王子として規律正しく生きて来た事、お互いを深く想えばの気持ち
それを読者の心が痛むまでに書いてくだされば、もうカイルをヘタレだなんて言えません…!!
葛藤なくして兄弟BLである必要なし!とさえ思えました。
その分、カイルが吹っ切れた後のエロシーンは貪るように激しく官能的でした…それはもう。

笠井先生の挿絵イラストも耽美で、一層ダークファンタジーな世界に浸れます。
ご興味を持たれた方は是非、次の一冊としていかがでしょうか。


(満六十歳)



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