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BL作品レビュー

BL小説レビュー「累る‐kasaneru‐」


著者:凪良 ゆう/イラスト:笠井 あゆみ
プランタン出版(フランス書院)2015/10/25


【ジャンル】前世が絡み合う和風ミステリーBL
【受攻概要】兄のためならどんなことも厭わない弟
×どんなことでも受け入れて支える兄

切なさ度:★★★★☆
陰湿   度:★★★☆☆
依存    度:★★★★☆
メリバ  度:★★☆☆☆


【レビュー】

腹違いの兄弟として幼いころから一緒に育ってきた、兄の七緒と弟の奏人。幼少期に夫の浮気相手の子供として七緒の母親から虐待を受けていた奏人にとって、見方をし常に見守ってくれる七緒は唯一無二の存在となっていきました。そんな中、七緒の母親が事故で亡くなり一見平穏な暮らしが始まりますが、奏人が成長していくにつれて酷い悪夢にうなされるようになってしまいます。そして、それは伝染したように七緒も悪夢に苛まれるようになっていくのです。
お互いを心の支えとして、血を分けた兄弟でありながら想いを通わせる二人ですが、七緒が悪夢を見るようになったことを知った奏人は、急に七緒に別れを告げてひと暮らしを始めてしまいます。七緒は自分の見る夢のことを、奏人が何か知っているのではないかと不信に思いはじめ、その夢に出てくる廃村へと向かったのですが…?


前半部分を読むと兄弟として禁忌愛に葛藤する話のように見えますが、視点の変わる後半部分になると一気にその雰囲気が変化します。七緒と奏人の見ていた夢の真相が描かれていくのですが、想像以上に惨いものが待ち構えおり、そのインパクトの強さに増々物語へと引き込まれてしまいます。(ネタバレになってしまうので、詳しくは書けませんが…)
昭和初期を時代背景とした古い山村での隠された因習。無知故の見せかけの幸福と、それを壊す中途半端な正義を振りかざす偽善者。身寄りのない少年二人が、互いの存在に希望を見出して愛し合ったにあるのは、何とも切なく悲しい結末でした。


前半は現代を描いた七緒視点、後半は過去を描いた奏人視点といった二部構成になっており、ページ数はそれほど多くはないにも関わらず、とても密度の濃い作品になっています。
虐待や近親相関、性的搾取など人間の恐ろしさや醜さと言ったものが、これでもかと詰められている印象です。痛いことや酷いことに目を背けたくなってしまいますが、それを補うほどストーリー構成が素晴らしく、所々に仕込まれている伏線と次第に明かされていく謎の真相に何度も驚かされてしまいました。


この作品は、甘々で優しいだけのお話しではありません。欝々とした、陰惨な表現も沢山出てきます。それでも、互いを唯一の存在として懸命に支え合う姿や、苦悩しつつも愛し合う切なさといった表現は、とても素晴らしく必見の価値ありだと思います。
最終的にはハッピーエンドで終わりになるので、ハラハラして呼んだ分、とても充実した気持ちに浸れること間違いなしです!


ぜひお手にとってはいかがでしょうか?




(藤花)




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